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PATTERN MAKING
衣服は一般的にパターンと呼ばれる型紙を元にして布地を裁断・縫製して作られていきます。パターン制作には平面作図と立体裁断という2種類の方法があります。ヨーロッパでは立体裁断が主流で日本ではほとんどが平面作図であると言われています。どちらにも利点があり、どちらの方法が優れているということではありません。
平面作図には主に次のような利点があります。
- 理論的に組み立てていくため、複数人数での作業や多様なデザインに対してサイズ感やシルエットなどのバラつきを抑えることができブランドイメージを統一しやすい。
- パターンを流用することで制作効率を上げることができる。
対して立体裁断のアドバンテージは以下のような点が挙げられます
- 自由に創造性を発揮したデザインがしやすい。
- ドレープやギャザーなどシルエットやボリューム感を確認しながら作業できる。
平面作図は立体になったときを想像しながら行い、立体裁断は平面にしたときを想像しながら組み立てていきます。この二つの方法はどちらも切り離すことができない要素でゴールへのアプローチの仕方が違うだけです。
私たちはほとんどの場合、平面作図の後トアル仮縫いでシルエット確認を行いパターン制作をしています。リアルクローズが主軸であまり奇抜なデザインがないこと。また、元々デザインテイストが異なる二人で制作しているため、イメージを共有し融合させる必要があること。そして何よりもやり慣れた方法であることなどが主な理由ですが、二人で制作から販売まで全てを行うため効率的にできる部分は可能な限り合理的に進めるという点も実はとても大事な視点です。
人間はそもそも各々の体型が異なり、朝と晩でも体型が微妙に変化します。そのため既製服のパターン制作では異なる体型に対応するための適度な「幅」を考える事が大切です。ブランドやメーカーはその「幅」を多くの場合ブランドコンセプトによって決定し、サイズ展開を行います。私たちNEW WAY,NEW LIFEは緩やかなデザインを得意とし、ゆったりとしたスタイルを提案しています。そのため、デザインイメージを保ったまま体型の「幅」をカバーしやすく、一般的なサイズ展開をせずに、なるべく多くの方に着て頂けるような衣服を制作する事ができています。
また、パターンで最も注力しなければいけないのが運動量の確保です。運動量とは人間が体を動かす時に必要な衣服のゆとりの事です。長い衣服の歴史の中で大体定量化されてはいますが、デザインによっては一から考えないといけない様な場合が多々出てきます。ラインの引き方が浅かったり深かったりするだけでも着心地がガラリと変わってしまいます。こういった事を熟練のパタンナーさんは経験的に身につけており、これは本当に凄い技術だということを気に留めて様々な服を手に取ってみてください。
パターンを引く事はとても難しく試行錯誤の連続で、出来上がったシルエットを確認するたびに新しい発見があり衣服の奥深さにへぇーと唸るのです。